課題6:Geant4による電離損失と電磁シャワーのシミュレーション

home , 準備 (linux | editor | X window | ROOT | login | remote ROOT | Geant4) , 課題(1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6)updated 2011.11.25

[1] 概要

  • 高エネルギーの電子(ガンマー線も)が物質にぶつかると電磁シャワーが発達する。右図はLHC計画アトラス実験装置の液体アルゴンカロリメターに100GeVクラスの電子が入射してひき起こされた電磁シャワーを Geant4 でシミュレートした結果である。多数のe+,e-,γ線がシャワー中で出来たり消滅するが、Geant4は量子電

  • Geant4の使い方は例えばGeant4講習会2007などにある。Geant4 の設定はこの演習のGeant4事前準備ページに従ってください。 磁気学の法則に基づいてそれらの1本1本を計算する。

  • ここでは (a) 荷電粒子が1cm厚の鉛板を通過する時に失う電離エネルギー損失の分布、(b) 1GeVの電子とpionが鉄板に入射したときのシャワーの発達分布、を計算する

    [2] Geant4を使ったdE/dX(電離損失)の計算

    1. directory g4workに戻って cp -r $G4INSTALL/examples/novics/N03 . でN03をコピーする。
    2. N03に入ってmakeでコンパイルする。... Done!が出れば成功。
    3. ./../bin/Linux-g++/exampleN03でN03を起動するとこのような画面が出てIdel>というプロンプトが出る。(以上は事前準備で既にやった。))
    4. lsでコマンドのsub-directoryがリストされる。cd N03/detでdetector controlに移りlsでdetectorのコマンド setAbsMat, setGapMat, ......がリストされる。
    5. 以下のコマンドを打って物質や形状を変更する:
      setNbOfLayers 1
      setGapThick 0 cm
      setAbsThick 1 cm
      setAbsMat Lead
      update
      
      すると右図のような画面に変わる。マクロmuon.macを作って/control/execute muon.macでも出来る。

    6. ?/gun/particleでビーム粒子を問うとe-であることが分かる。/gun/particle mu-でμ-粒子に変更する。

    7. /gun/energy 1 GeVで粒子のエネルギー(kinetic energy)をセットし、/run/beamOn 1000で走らせると、最後にこのようなテキスト出力が得られる。エネルギー損失dEdXの1000回の平均が13.92562 MeV +- 3.3375 MeVと出た。2番目の数字は回数を増やしても変わらないので分布の幅(rms)であろう。従って平均値の誤差はrms/sqrt(回数)=3.3375 MeV/SQRT(1000) = 0.105 MeVである(たとえばPDGの統計処理解説参照)。

    8. muonのエネルギーを0.05から100 GeVまで変えて計算するために、数値を自動的にファイルに書く方法をつかうのがいい。結果をmuondEdX.txtにまとめてプロット(自分で作成せよ)すると 右図のように dEdXのrelativistic rise(相対論的上昇)が見える。

    9. 提出課題6a:0.05~100GeVのmuon(mu-), pion(pi-), kaon(kaon-), proton(proton)が 1g/cm2 の鉛版を通過したときのdEdXを計算してプロットする。粒子別に色で分ける。

    10. dE/dXはBethe-Bloch formulaで計算できる。鉛(Z=82,A=207.2)の場合をplot_Bethe-Bloch.Cを使ってplotするとこの図のようになる。これを提出課題6aのplotに重ねて比べる。

    [3] Geant4を使った電磁シャワーの計算

    1. Geant4講習会2007のExercise-3に従って、5mm厚の鉛と5mm厚のScintillatorの50層からなるカロリメターを設定する。

    2. gun.macを変更して、電子とpion入射のシミュレーションを行い、それぞれのROOT出力ファイルをex03_e.root, ex03_pion.rootに名前変更する。

    3. rootファイルを読み込むマクロ plot_shower.Cでプロットすればこのような図が得られる。

    4. 提出課題6b:1 GeVのガンマー線入射のシミュレーションを行い、上のプロットに追加する。 ガンマー線入射のシャワーは電子入射のそれに比べて遅く(深く)発達することが見えるはず。