ATLAS-Japan Physics Home Page

アトラス物理ワークショップ@ローマ(2005.6.6-11):参加者によるメモ欄

2005.6.27 (T. Kondo):
アトラス日本これからの主な予定と経過Athene2003日本語メモ | Roma2005日本語メモ
  • アトラス物理ワークショップ@ローマ
  • agenda | pictures |
  • 日本人による発表: 浅井
  • 参加者による日本語メモ: --------------------------------------------------- Mon 06 June 14:15->16:30 Introduction session Mon 06 June 16:30->18:30 Standard Model Physics 尾高メモ Tue 07 June 08:45->09:10 Introductory talks Tue 07 June 09:10->12:40 Higgs Physics 神前メモ Tue 07 June 14:00->15:00 Heavy Ions Physics Tue 07 June 15:00->18:30 b-tagging 金メモ Wed 08 June 08:45->09:10 Introductory talks Wed 08 June 09:10->11:30 SUSY Physics 川越メモ Wed 08 June 11:30->15:00 Exotic Physics 陣内メモ Wed 08 June 15:00->18:30 Jets/Etmiss/Tau Thu 09 June 08:45->09:45 Lum/forward physics 田中礼メモ Thu 09 June 09:45->13:10 e/gamma Fri 10 June 08:45->11:15 Top Physics 原メモ Fri 10 June 11:15->14:30 B physics 海野メモ Fri 10 June 14:30->18:00 Combined mu Sat 11 June 09:00->12:30 Final session 田中礼メモ -------------------------------------------------------- ----------------------------TOPへ戻る------------------------- Standard Model セッションのメモ(尾高) 6 月 6 日(月曜日)16:30 - 18:30 http://agenda.cern.ch/fullAgenda.php?ida=a044738#s1 まずは私事ですが、私は夜行便で初日の朝ローマに着き、そのまま電車で会場に 直行しました。飛行機で結構寝られたものの、まずは予想外の蒸し暑さに驚き、 それなりに疲れた状態で会場に到着。登録手続きは既に始まっていました。蒸し 暑さの中、登録手続きの行列は遅々として進まず。ようやく手続きを終え、これ また進んでいるのか分からない様な行列の末にようやくありついた昼飯。いささ かバテバテの状態で、ようやく冷房の効いた会場での開会の挨拶。さて落ち着い て Altarelli 先生の話でも聞くかと思ったら、余りの多人数のせいか冷房の効 きが悪く成り、耐えられない蒸し暑さの再来。話が終わるや否や、質問時間も無 視して、皆、出口に殺到。この様な難行苦行の後、Standard Model session の 始まりと成りました。という訳で、記憶はかなり断片的です。悪しからず。 さて、Standard Model physics って何が面白いの?これが大方の感想でしょ う。確かに、パッと見は面白くない。面白くなくても不可欠の物、というのが LHC の Standard Model physics です。Craig Buttar の introduction で述べ られている様に、Standard Model process の study には三つの役割がありま す。一つは Standard Model 自体の測定。すなわち、W の質量や weak mixing angle、alpha_s などの測定です。PDF 測定もこの範疇か? 二つ目は、特に実験の初期段階で特に重要な、実験条件の理解や測定器の calibration、simulation の tuning などの為の道具としての役割。W や Z の leptonic decay は rate も高いのでこの様な用途にうってつけのはず。理論的 な理解も進んでいるので、これらを luminosity 測定に使おうという話もある。 W/Z + jet(s) は gamma + jet より理論的な不定性が小さいはずなので、この jet(s) もいろいろつかえるはず。実験開始前の現時点では、それぞれがどの程 度使い物に成るかという評価が study のメインテーマになります。 三つ目は、LHC 実験の主目的である Higgs 粒子や SUSY 粒子生成などの "new physics" の background の理解。Standard Model process はこれらの "new physics" に比べて一般に cross section が桁違いに大きいので、良く理解して いないと"new physics" の有無も言えなく成ってしまう。明確な peak が現れな い現象では特に重要。Buttar 先生は minimum-bias event や underlying event もこの範疇に入れています。 という訳で、ATLAS の物理解析には不可欠の物で、やり始めるとどれもそれなり に面白いのですが、誰もが興味を示すという物でもない。この意味では、一つ目 の役割以外は測定器の calibration に近い物なのかもしれません。一つ目も、 他の物理解析のベースに成る基本 parameter を与える、という観点からは calibration 的なものと言えない事もありません。 Standard Model physics は LHC で新たに画期的な物が出てくるという訳ではな く、低エネルギーからの連続的な延長であるはずなので、これまでの経験や知識 の蓄積が重要になります。2 年ほど前から HERA-LHC や TeV4LHC などという workshop が企画され、それぞれ HERA 実験や Tevatron 実験の蓄積を整理して LHC での解析に備える努力が行われています。PDF や QCD、underlying event などの Standard Model physics が議論の主要な対象と成っています。ATLAS の Standard Model working group meeting でも最近はこの線に沿った解析が議論 の中心に成ってきています。ただし、LHC は energy だけでなく luminosity も 桁違いに高く成るはずなので、これまで出来なかった解析が可能に成るという期 待もあります。量の質への転換ですね。 ところで、ATLAS では Higgs、Top、Bottom は個別の working group に成って いるので、Standard Model working group の担当はこれら以外の Standard Model physics という事に成ります。勿論、明確に区別できる訳ではないので重 複はあり得ます。また、Standard Model の信頼度は BSM (Beyond the SM) への 制限として評価される事が多いので、一部の議論は SUSY などとも重複します。 anomalous TGC (Triple Gauge coupling)、contact interaction などは Exotics と重複します。 さて、今回の workshop では introduction に続いて五つの talk がありました。  (1) Minimum-bias/underlying event の測定 (A. Moraes, Glasgow)  (2) W の leptonic decay を使った PDF 測定 (A. Tricoli, Oxford)  (3) Z + b event の測定 (M. Verducci, Roma Tre/CERN)  (4) W 質量の測定 (E. Klinkby, NBI Copenhagen)  (5) multi-lepton event での di-boson 生成の測定 (H. Ma, BNL) (5) 以外は比較的若い人たちが話した様に記憶しています。どれも、これまでの 解析のまとめと full simulation、いわゆる Rome sample を使った解析の経過 報告が主題で、解析の内容としては特に目新しい物はありません。やっている事 は題名から類推できると思います。(1)、(2) は常識的な話です。(1) はモデル の議論でしかないので、本当はどうなるか分からないもの。しかし、準備は整え ておく必要がある。今回は、この辺を調べる為の特別な run をやろうという、 ちょっと過激な提案をしていました。(3) は b の PDF を測ろうというもの。 (4) の目標精度は 20 MeV です。(5) はこれまで聞いた記憶が無いので最近出て きた話の様です。アメリカの新規参入。詳しい内容はトラペのコピーを見てくだ さい。今回は multi-jet などの QCD の話や weak mixing angle 測定の話はあ りませんでした。 以上 ----------------------------TOPへ戻る------------------------- Higgs セッションのメモ(神前) ローマのアトラス物理ワークショップで7日の午前中に行われた Higgs Physics のセッションについて報告させていただきます。 コンビーナーによる Introduction を除くと発表の数は8で、残念ながら 今回は日本人による発表はありませんでした。しかし、そのうち ・H->tau tau (VBF), K.Cranmer(BNL) ・ttH (H->tau tau, H->bb), E.Gross (Weizmann) ・Higgs properties, Higgs self-couplings, A.Dahlhoff(Freiburg) の三つの発表には何らかの形で過去から最近までの私達の仕事が refer され ていました。もちろん満足できるとは言えませんが、戦力の現状を考えると 納得するべきレベルかと思います。 実情を見ると、これだけの内容の refer してもらうためだけでも、解析結果 の内容を充実させることはもちろんのこと、さらに発表者との交渉、そして 図や数字の作製など、実際に作業している方々の努力の賜です。 今回の内容を全般的に見ると、実験開始まで2年となり、解析の準備の精度を あげようとする努力が進んで来ている、少なくともその方向で努力をし ようとする方向性が感じられるようになりました。我々のこれからの努力も、 やはり同様の方向で ・実際の測定条件に近い状態での物理量の精度に関する考察 ・理論的な予測についてもさらに精度の高い予測を得る ・新しいアイデアでの解析方法を検討する など、さらに高いレベルでの努力が必要となることを実感します。 既に戦線の火ぶたは切られていますので、このワークショップは参加者にとっ て次にどのような手を打つべきか、考える場になっていたと思います。日本か ら参加された方々にも是非、今後実際に何をして行くかを考えて頂ければと思います。 ワークショップに参加して何が行われているかを知る、という時期は過ぎてい ると思います。ワークショップが無くてもアジェンダのウェブから実際の活動 の様子を探る事ができます。 ----------------------------TOPへ戻る------------------------- b-tagging メモ(金) b-taggingのセッションの前半部は飛跡検出器のテストビーム結果中心の話、 後半部がb-tagging algorithm のモンテカルロデータを用いての評価の話であった。  T. Cornelissen(NIKHEF)の「Tracking results in the testbeam」報告と R.Petti(CERN)の「Inner detector alignment at CTB」報告では、ATLAS測定器 のCTB(Combined TestBeam)テストの結果、alignmentを行った後に、impact parameter d_0, z_0の分解能がテストビームデータとモンテカルロデータで一致 した(100GeVπに対してd_0で11μ、z_0で120μ)。alignmentの精度はSiで10μ、 TRTで80μ。ただし、磁場(1.4Tesla)のある場合には、9GeVπに対してTRTを含め て再構成した運動量は8.4GeVとなり、7%程度ずれる。まだalignment、磁場マッ プ、あるいはTRTそのものについて理解できていない問題がある。  S. Dallison(Rutherford)の「Performance of the ATLAS ID Offline Reconstruction」報告では、Rome data sampleで運動量再構成を行ったとき、中 央領域の高運動量(100GeV)のtrackが1.5%間違って再構成された。この系統的 なずれはDC1 sampleではなかった。この問題は現在追及中。 L. Vacavant(CPPM Marseille)の「b-tagging performance」報告とV. Kostioukhine (Genova)「Secondary vertices for b-tagging」報告では、 transverse impact parameterを用いる方法(IP2D)、IP2Dにlogitudinal impact parameterも合わせて用いる方法(IP3D)、secondary vertexのdecay lengthを用 いる方法(SV1,SV2)の3方法についてb-tagging efficiencyとrejection powerの 評価をRome sampleを使って行った。 これまでATLASの標準アルゴリズムはIP2D、IP3Dであったのが、最近secondary vertexも合わせて使うようになったようである。WH, ttbar, ttHなどの反応につ いて評価した結果、IP2Dではefficiency=60%,rejection factor〜60で, IP3D+SV1ではefficiency=60%,rejection factor〜300程度と大幅に改良してい る。b-tagging efficiencyのin situ calibrationはttbar eventsで行う。(10fb -1で20kevents with a purity > 98%という評価をしている。私見ですが98%の purityは無理だと思う、どうしてもISR、FSRのジェットが紛れ込んでくるので。) ちなみに、CDFでのb-taggingアルゴリズムは、RUN1の最初(92年ごろ)にIPと secondary vertexの両アルゴリズムの競合があって、S/N比が良いことから secondary vertexが標準として採用され、97年ごろからIPも2b-tagsの場合にの み合わせて使われるようになっている。 A. Wildauer(CERN)の「Primary vertex and pileup in b-tagging」報告では、 displaced primary vertexとpileupのb-taggingへの影響を調べた結果、どちら も特に影響はない。 S. Gibson(Oxford)の「Influence of alignment on b-tagging」報告では、 PT<30GeVのtrackについてはmultiple scatteringの効果が支配的でmisalignment は効かない。CDFと同程度と仮定すると、misalignmentによるb-tagging性能劣化 は10%。このときのR-phi misalignmentの大きさは10μ程度。 F. Parodi(Genova)の「HLT b-tagging」報告では、level2でのb-tagging triggerでimpact parameter, secondary vertex等のdiscrminant variablesでWH eventsをtriggerした結果、efficiency=60%でrejection factor〜5(offlineで は50)。triggerとofflineの相関はよい。 M.Wolter (IPN Cracow / Tuft University)の「Soft lepton b-tagging」報告で は、soft leptonによるb-taggingの性能は b-tagging efficiency=0.22x60%で rejection factor〜100となり、IP3D+SV1によるb-taggingにくらべると大幅に落 ちる。これはCDFでも同様である。 ----------------------------TOPへ戻る------------------------- SUSY物理セッションメモ(川越) 1) Introduction: F. Paige  SUSY convener による、このセッションの露払い。以下の講演は、ほぼ2007にお  ける重要度の順にならべたとのこと。 2) Standard model background: S. Asai  今回のワークショップで日本から唯一の発表。浅井、佐々木、田中(純)によ  る、Matrix Elementを使ったStandar model process用のEvent generator  (ALPGEN)を用いたSUSYに対するバックグラウンドの評価。Parton Showerによる  generatorでは、Hard jetがあまりでてこないので、従来の評価は甘すぎた。No  leptopn モードは特に深刻(無理か?)。leptonを要求するモードではSUSYを発  見できそうである。  MEを使ったバックグラウンドの評価はこれから主流になりそう。SUSYシグナルも  MEを使ってやりたいところだが、それのできるgeneratorはまだない。  そのほか、top backgroundの評価など(ほかの人の仕事)を紹介。 以下の講演は、Rome sampleを使ったAOD解析の結果報告。イベントトポロジーで わけて話をつくっている。いずれも、やってみました、というかんじで、新しい アイデアがあるわけではない。もちろん、やってみることは、もちろん大事で、 日本のグループがまだ追い付けていないのは事実である。いずれの解析もまだ始 まったばかりで、途中経過報告のようなもの。詳しくは各トラペを見てください。 3) Inclusive signatures: D. Constanzo -Missing ET, effective mass, s-transverse mass など。 -なぜか、R-hadron, long-lived stau の話も含まれていた。 4) Leptonic signatures: T. Lari -electron, muon effciencies (muonにはknow problemあり) -ll mass, lq mass, etc. 5) Tau signatures: M. White -tautau mass のend point (大変だけど、なんとかなるか?) 6) B-jet signatures: G. Brooijmans  これが最後なのは、2007年にはまだ満足なb-taggingなどできないだろうという  ことか。個人的には(K.K)、これまで野尻さんと第3世代の話をやってきたの  で、このあたりは積極的にfollowしていきたいと思っている。 ----------------------------TOPへ戻る------------------------- exotic物理セッションメモ(陣内) [セッションの印象] 後にJetEt/MissEtが控えているとあって、会場はそこそこ混んだまま。他の日もそ うだがOrganizerはうまくセッションを組み合わせている!ここでトークして、他 でも話す人が二人ほどいた。かけもちも可ということもあり、このセッション命と いう人はいないという印象がある。しかし皆さん、当たれば大きいので(そもそも トピックは面白いし)興味はとてもあるようです。 [イントロダクション] Samir Ferrag (Oslo) イントロはオスロ大のSamir Ferragから。彼はレズースで僕もお世話になった人で いつも服装がお洒落。幾つもトピックがあるので、WGのアクティビティを満遍なく 紹介したが(後に続くトークに関するトピックについてはスキップしていた)各ト ピックはバラバラで余り系統立ててstudyされていないように思われた。(以下に 続くトークがアサインされているものは別として) - ゲージ対称性の拡張関係ではIsosinglet quarks, Compositeness, Leptoquarks - Extra dimension関係ではLarge ED, Universal ED のstudyを紹介。ATLFASTがメインだが、Romeサンプルを使ったFullとの比較もし始 めていることを強調。以下は各トピック [Doubly charged Higgs] Kamal Benslama (Columbia) 同符号のレプトン対が出来るのでシグナルは特徴的。唯一のBGは qqWWのみ。このs tudyはすでにシグナル、BGともAODで行っている(それぞれ5kだが)。τ対を経 てのe,μ対チャンネルも、圧倒的にSNがいい(もうやることなし?)。 [Heavy majorana neutrinos] Vladimir Savinov (Pittsburgh) 顔色の悪いロシア人がマヨラナの発見可能性(ATLAS初期で)について熱く語って いた。トラペは字が多いが、その分後で読んで分かり易い。実験極初期500pb-1で シグナル(500GeV-ν(重)&2TeV W(右巻)のもとで)は容易に見えるとの結論。 ttbarの評価は終了。ローマ後にDYのstudyを進める予定とのこと。 [Micro black holes] Nick Brett (Oxford) Durhamのグループが作ったBHのEventGenerator "Charybdis"を使った以前のStudy (JHEP0505:053, atlfastを使用)の結果をFullで検証。EventMultiplicityはfast とfullで大分違う模様。質量再構成(全粒子)もあっていない。最終的にはelectr onのスペクトルから温度測定にもって行きたいようだが、Fullではここまではまだ 行っていない。アテネの時の田中(純)氏のトークに言及もあった。 [Narrow resonances] Sanjay Padhi (Wisconsin) レゾナンスが存在した場合、LHCの極初期から見える可能性が高い。問題はそこか らどんな情報(モデルの識別、断面積、FB非対称度。。。)が引き出せるか。前半 はZプライムの話をした。基本はレプトンペアの再構成からピークを探す。HiggsLe ssモデルからのZ'の場合、FB非対称度が高い(?) 後半はRS(ランダル-サンドラム)のグラビトンレゾナンスのstudyを紹介。di-lepto n, di-photonモードを探索。leptonの角度分布からスピン2が見えることも紹介。 [Vector Boson Fusion at high mass] S.Allwood (Manchester) 話としては、ヒッグスが見つからないときにユニタリ問題を抑えるために、Strong SBを起こすというもの(TeV近辺にVBFからのレゾナンスの存在)。WZ,WWをFull si mulationでstudy [Little Higgs] David Rousseau (ORSAY) 簡単なイントロから入り、カラフルでファンシーな(重い)トラペを駆使して(pp tからいろいろと貰えそう)幾つかのチャンネルを紹介していた。Heavyゲージボソ ンのStudyではM(H)=200GeVのパラメータで6TeVまでのsensitivityがある。fast s imulationによるsignificanceの検証、fullによるresolutionの変化などを調査。 ----------------------------TOPへ戻る------------------------- Luminosity and forward physicsメモ(田中礼) LHCでルミノシティーを決定するのに、陽子・陽子弾性散乱(Roman Pot)、 LUCID(Cherenkov検出器)、QEDプロセスγγ→μ+μ-、W/Z生成や加速器の パラメータによる方法などが提案されている。また回折散乱の物理の紹 介があった。 1)L. Pinfold (Alberta) 物理プロセスに依るルミノシティーの決定  QEDプロセスγγ→μ+μ-とW/Z生成による ルミノシティー決定について紹介 した。質疑では、γγ→μ+μ-プロセスはポメロン散乱に よる断面積の不定性が 大きすぎて使えないのではないか、W→lνチャンネルでジェットVETOを使う のは、QCD高次効果が分からないので危険、同じく W→lνチャンネルについて これはPDFを決めるチャンネルなのかそれともルミノシティーを 決めたいのか、 というコメントが出ていた。 2)B.Cox (Manchester) 420m先の陽子タグ  検出器から420m先に陽子検出器を置いてタグしようという FP420 R&Dプロジェクトの 紹介。Double diffractionによる物理は、これまでもヒッグスのrecoil質量を250MeVの 精度で決める事が出来るなどと宣伝されてきたが、理論計算の不定性が非常に大きく、 H→WWプロセスは今や1 fb以下。L1トリガーをどうするかも問題。 3)M. Boonekamp (Saclay) Central Diffraction  SMグループのコンビーナーだが、ここでも話していた。ダブル・ポメロン 交換による物理の宣伝。Dijet, tt, WW, ll, γγ生成について紹介。ディスカバリー ポテンシャルがあると主張するが、断面積は小さく、また理論の不定性が あまりにも大きすぎると思う。どうもこの手の物理の重要性がよく分からん。 ----------------------------TOPへ戻る------------------------- top physicsメモ(原) トップの物理 ttbarを使って、bタグやjet energy calib(JEC)をしようという話が2つ、 物理では質量、single top、スピン、FCNC. Van Vulpen(NIKHEF): ttbar生成は759pb。3E33で、l+jets w/ bタグは700 ev/h。 lの反対側の3jからW->jjを捉えてmassカットすると、bタグが働かなくても1週間 でS/N=1.8。W->jjからJEC、b enrichサンプルでbタグのcommissioning可。(W+j のMCサンプルに問題がある可能性が質疑で指摘された) Pallin(Clemont Ferrand): tt-barのW->jjでJEC。(E,eta)依存で、まずJECを数%、 1E33、1ヶ月で1%の精度を目指す。AODを用いてcombinatoryだけ考えてうまく いくことを示した。物理BGはこれから。 Etienvre(Saclay): top massを1GeVの精度で測定する。l+jetsモードで、bと non-b jは1%のJEC精度で、それぞれ0.7, 0.2GeVの影響を与える。j cone=0.4, Pt>40GeVがoptimumで、2bタグ効率30%、purity80%のサンプルが得られる。 MCの違い(MC@NLO,TopReX(spinの入ったLO matrix element), Pythia)に言及 したが物理BGの言及は無かった。 Lucotte(Grenoble): 単トップ生成は、Vtb測定やs-chに荷電Hなどが入ること などから重要。主なBGは対トップだが、NjやNbで区別する。full simでのBGサンプ ルができていないが、ATLFASTとも比較し、30/fbで数%の断面積測定が可能 (LHCで初めて精密測定ができる)。s-chをどう分離するかは課題。 Hubaut(Marseille): ハドロン化する前に崩壊するトップはspin関与の研究に 適する。tt-barでは生成時のtop spinとW崩壊時のV-Aが関与。発表は後者に時間 が割かれていたが、l+jet、対レプトンモードで10/fbで両者は約10%の精度で評 価可能。 Veloso(LIP Coimbra): SMではt->qZ,qGamma,qg等のFCNCはE-10からE-12の予想。 tt-barではATLFAST、単トップではFull simも加えて評価。t->qGammaの感度が 最も良いが、100/fbでリミットは1.8E-5。 ----------------------------TOPへ戻る------------------------- B-Physicsメモ(海野) Introduction: (M. Smizanska (Lancaster) 現在B-factoriesでユニタリティートライアングルの測定がかなりの精度で決まってきて 標準モデルのCKMフィットは6~22%の誤差範囲で、3つの角の和も187度で誤差の範囲 で閉じている、、、(LHC以前の測定は)標準モデルの仮定を検証する統計で、新しい 物理(NP)に制限をあたえる精度でない。従ってLHCは(大量のb生成を利用し)NPの 徴候を示唆する、または、非標準モデルに制限を与えるような測定、すなわち、稀崩壊 過程、CP非保存混合角(φs)、ダイレクトCP非保存過程の測定、等々について準備し ている。道具として、Generators (PythiaB, BSingalFilter, EvtGen_i(nterface), EvtGen (LHCb, ATLAS, BaBar, Belle, CDF, D0のLCG/MC共同開発)、また、B physicsに 特化してたBPhysisAnalysisプログラムを作っている。Presentationsは Introduction M. Smizanska, Lancaster B-trigger studies J. Kirk, RaL Rare decays of Bs and Bd mesons to mumu(X) S. Sivoklokov, Moscow Rare decay Lb->mumu L P. Reznicek, Prague Lb polarization and lifetime N. Panikashvili, Technion Bs ->J/y+phi DGs and CP violation J. Catmore, Lancaster Bs -> Ds+pi xs oscillations B. Epp, Innsbruck さて、発表は詳細に渡っているので具体的にはトラぺをみてもらうこととし、印象に残った部分 を記載すると B-trigger studies J. Kirk, RaL LVL1でのdi-muon (mu+mu-)トリガー、LVL2でのdi-muon ROI(Region of Interest)、 Jet ROI、rare radiative decayのトリガー(LVL1+LVL2+EF (Event Filter))と、柔軟性を 持っている、と示していた。(他の発表も全て同じだが)pileupを入れたデモンストレーション はこれから、とのこと。 Rare decays of Bs and Bd mesons to mumu(X) S. Sivoklokov, Moscow b->d,s(FCNC)遷移は、標準モデルでは1次レベルでは禁止され最低次でもペンギン 若しくはボックスの1ループなので、標準モデル及びその拡張のSUSY等の良い検証で あり、ロングディスタンス(LD)QCD効果の情報、(CKMマトリックスの)V_tdやV_tsの決定 や、他の稀崩壊のバックグランドの検証にもなる。LHCはB-ファクトリでの測定と比肩でき、 B_d->K0mu+mu-のF-B非対称性測定は可能でありMSSMの効果を見つけることが出来 るかも、、、B->mu+mu-も標準モデルでは非常に制限されているので非標準モデルの 効果を見るに効果的、高統計のバックグランドのデータが信頼性を高めるために早急に必要。 Rare decay Lb->mumu L P. Reznicek, Prague ラムダbバリオンのdi-muon崩壊も面白い。b->sl+l-のWilson係数を介してのラムダのF-B 非対称性は新しい物理に感度がある。low Lumiで3年走ればJ/psiより低い質量のdi-muon の質量領域で、~5%以上のA_FBの違いがあるモデルを1sigmaレベルで分離できる。フルLVL1 トリガーシミュレーションでやり直すこと、ラムダbの偏極がある時の効果を確認すること、V^0再 構成の道具を改良すること、バックグランドの効果、を調べることが今後の課題。 Lb polarization and lifetime N. Panikashvili, Technion ハイペロンの生成で、ラムダハイペロンの偏極度が何故大きいのか、等スピンの役割につ いては解っていないことが多い。L_bハイペロンの偏極を調べることによって解ることがある かも、、、3年(30fb-1)で7500イベントのL_b->J/psi(->mumu)L(->ppi)があり最大の統計に なる。非対称性パラメータalpha_bはPQCDモデルで予言でき、新しい物理及びCPを検証す る道具になる。偏極はカスケード崩壊チェーンの5つの角分布から求められる。PythiaとEvtGen を繋いで、偏極L_bを崩壊させるMonteCarloを作って調べた。GRID上でとAODで解析する 手順を確立した。バックグランドを調べること、解析にトリガー(の効果)を入れること、D_0実験 でL_b偏極解析をしてみること、寿命の測定、CP測定の可能性を調べること、新しい物理の 感度を調べることが残されている。 Bs ->J/y+phi DGs and CP violation J. Catmore, Lancaster B_s、B_s_barミキシングのweak mixing phase phi_sを測定する。標準モデルでは非常に 小さい(~0.02)で30fb-1では標準モデルの値に届かないが、SUSYの効果は見える。 Bs -> Ds+pi xs oscillations B. Epp, Innsbruck B_s、B_s_barの振動パラメータDelta_M_sはまだ見えていない。B_d、B_d_barのDelta_M_dは 良い精度で測られている。10fb-1で現時点での全世界のデータの感度をこえることが出来、 きれいなDelta_M_sの測定が可能で、Delta_Gamma_s等の値の決定、またSUSYに感度があ る。ローマデータの全解析をし、Delta_M_sのリミットをアップデートすること、リミットを上げる ため解析の改良をすること、等が今後の課題。 ----------------------------TOPへ戻る------------------------- Final Sessionメモ (田中礼) 1)I. Hinchliffe (LBNL)   ローマ・プロダクション  ローマのためのMC生成は、予定より少なく8割を生成(パイルアップなし)。 GRIDでのジョブサブミットの方法、CASTORでのデータ複製、データベースへの アクセス、イベント・ジェネレーション、プライベート生成など様々な問題が あった。どのようにローマデータを使ったかアンケートがあったが、AODは 使ったものの、CBNT, TAG、ESDデータの使用率は低かった うだ。 2)D. Costanzo (BNL) ソフトウエアへのフィードバック  アテネからローマへのソフトの進展としては、NLO MC, G4への移行、ESD/AOD モデルがあった。問題点としては、遅いAOD生成(40ms/evt@2.4GHz CPU)など。 物理グループからのフィードバックが不可欠である事を強調していた。 3)T. Wengler (CERN) トリガー  トリガーの話。あまりに当たり前の事を話していたが、それを分かっていない人 のためのレクチャー? 4)D. Froidevaux (CERN) DC3のための検出器の記述  最近特にアクティブなDanielの話。良い物理を出すためには、良い検出器の記述 が必要で、DC3に向けて準備が進んでいる。あまりに字が多いトラペンなので 聞いている分には疲れるが、後から勉強する分には良い。磁場のマッピングが クリティカル。現状では、ソレノイド磁場は、ビーム軸から(3+1)mmずれているが、 LHCビーム自体最大3mmずれる。アラインメントやW質量を精度よく測定するため のID物質量の記述など、まだまだやるべき事が多い。1日ワークショップを開催? 後からFabiolaに聞いたら、今後Danielが中心となって、検出器の記述をまとめる とのことだった。 5)A. Farbin (CERN) Users Task Force  Fabiolaがアトラスのソフトの使い勝手について個人的に研究していて、ローマ でも3日目に話していたが、いつの間にかUTFなるものが出来ている(アトラス 正式グループ?)。アトラス物理解析の中心人物が集結。いつでもUTFに参加可能、 参加しなくても意見くれとのこと。UTFのTWikiページがある(アトラス日本の 「LHC物理」ページにリンクを貼りました)。Athenaセットアップから、MC ジェネレータ、ESD/AOD解析、インターラクティブ解析と全部 やっているので 参考になるかも。 6)L. Maiani (Rome, La Sapienza) Outlook  どんな話が聞けるか期待していたのだが、話の前半はV. Del DucaとF. Gianotti のトラペンを借りた普通のLHC物理の話。後半は、最近研究しているらしい 重イオン衝突の話。クェンチ・ジェットからの衝撃波など新しい話もあった。 J/ψサプレッションなど状況証拠のような話ばかりで、QGPの物理は小生にはよく 理解出来ないが、こういった多体系の物理はジェット・トモグラフィーだの流体 力学的集団運動だの現象として面白いらしい。最後に、LEPがSppSとTevatronを ”clean up”したように、LCがやってくるが、それは2018年以降だと断言。 7)G. Polesello (CERN, Pavia) Conclusions I  物理コーディネータのGiacomoのまとめとお礼の言葉。今回は、ローマという 観光都市(老齢のアメリカ人がやたらに多い)の割には、最初から最後まで参加 者は多かった(個人的には、400人は多すぎてまともな質疑応答は不可能と思う)。 11月上旬に昨年と同じくPhysics Weekを開催する。ローマ解析の完結とより 現実的な条件(例:トリガー)での物理解析を目指す。長期的には、実際のデータ 収集が始まる前にPhysics Readiness文書の準備やblind解析の必要性について言及 していた。 8)P. Jenni (CERN) Conclusions II  第5回アトラス物理ワークショップ最後のまとめとお礼の言葉。今回 のワーク ショップは、最大のCERN外アトラス会合だった。物理コンビーナーとして6月 下旬のATLAS Weekで、Giacomoの任期を1年間延長する事を提案すると明言した。 恒例の(?)スピーカーの年齢構成(Giacomoと話していたらいつかFabiolaの 年齢がアトラスワイドに公表されてしまい激怒していたとか、女性の年齢の取り 扱いには注意が必要です)は、23〜40歳が中心だった。最長老61歳。トークは, 全部で100位だった。 ワークショップ開催中は天気もよく、また食べ物もおいしく、参加していて気持ち のよいワークショップでした。願わくば、次回は多数のアトラス日本グループから の発表をしたいものです。