Subject: [atlas-japan:01160] LHC RRB メモ

[1] LHC RRB Plenary のメモ  岩崎 
[2] ATLAS RRBのメモ             岩崎
[3] Computing RRB のメモ 川本

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[1] LHC RRB Plenary     

2007年10月22日(月)15:15   Main Auditorium

1.CERN status and News (Robert Aymar)

- LHC 以外の活動としてニュートリノ実験が進んでいる
 2006年11月に CERN からグランサッソへビームを送る
  commissioning。2007年に実験開始、3週間の運転
- 理事会レベルの話では、LHC建設での借金の支払いがある
- 一方で、LHCが設計通りに性能を出すよう、LINACやPSなど
 老朽化したインフラの整備が必要である。将来に向けての
 準備も必要で、優先事項はルミノシティの向上(10^35)と、
 検出器開発である。これらには国際的なサポートが必要。
 そのために2008年から2011年の4年間に 240 MCHF が必要
 (年当たりに60MCHF)。
- 2008年の出来るだけ早い時期にLHCを稼動させ、2011年ころ
 には10^34を出したい
- LHC以降のことも大いに議論している。ILCの後に CLIC様の
  ~3TeV のことなど。ただし、2016年以前には結論は出せない

2.LHC Status Report  (Lynn Evans)

- Inner triplet は修理が終わった。マグネットの繋ぎ作業は
 Sector1-2 を残し終了
- Sector7-8 の1.9K までの冷却は6月に達成。Dipole と 
 Quadrupole の電流は2ppm程度での同期がとれている。
 Sector4-5の冷却も進んでいる。10月22日現在で60Kくらい。
 超伝導RF空洞の冷却している
- 今後特に問題が起こらない限り5月に Commissioning 開始
 (ベロウの不具合についての話はしなかった。
  半数の sector では commissioning 中に励磁試験をやる)

岩崎

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[2] ATLAS RRB          

2007年10月22日(月)15:15  60-6-002

1.ATLAS Progress Report (part I) (M. Nessi)
- 検出器の組み込みが進んでいる(7000トン中の約6000トン)
 前方のミューオン検出器の一部、前方のシールドの一部は
 まだ地上にある。
- Endcap toroid の励磁試験を11月の第2週に実施する予定。
- Barrel muon chamber は 99% が組み込み済。8台の Big wheel
 も組み込みが完了。
- Liq Ar は2007年春から electronics の commissioning 開始
 LV電源は夏に修理が終了。Frontend electronics の修理は
 進行中。
- Pixcel detecor も組み込み完了。
- 2008年3月ころから連続で測定器を運転する。シフト体制に
 徐々に移行する。
- 加速器の進捗状況によるが、Beam pipe を閉じるのは3月末か
 4月初めの予定。

2.ATLAS Progress Report (part II) (P. Jenni)
- Computing and Software は 2007年11月から2008年春まで
 「Full Dress Rehearsal」、TDAQから解析までの全ての過程
 の確認試験。Analysis Model が最終の形になりつつある。
 calibration/alignment 方法の確立も進めている
- 実験をやるには測定器や計算機の運転から解析用データの
 準備まで幅広い仕事がある。初期には年当たり約600FTEが
 必要になると予想。これらの義務を公正に配分する枠組み
 が2007年2月の Collaboration Board で承認された。
- Forward Detectors (LUCID, ZDC, ALFA) は重要な測定器。
 まだ予算の目処がたっていない。予算処置が必要。
- アップグレードのための枠組みが出来ている。活動も活発。
 R&DをCMSと共同ですすめているものもある。
- 初期測定器の建設コストは541.1MCHF(当初建設費 468.5MCHF、
 補足建設費が 72.6MCHF)。今現在16.7MCHFが未納(内10.1MCHF
 は未透視がたっているが、6.6MCHFが危険水域)
- Design luminosity に対応できる測定器にするには 20MCHF必要。
 Forward detectirs でまだ予算処置されていない分が 1.5MCHFある。

3.予算 (M. Nordberg)
- 2008年の維持運転経費は M&O-A が 14.1 MCHF、M&O-B が
  6.9MCHF、合計 21.0MCHF。内日本の分担は M&O-A が 527kCHF、
  M&O-B が 313kCHF、合計 840kCHF。 

文責: 岩崎


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[3] LHC Computing RRB のメモ              

2007年10月23日、9:00-11:00 CERN 60-6-002

出席(日本):川本(東大)、齋藤(代表部)

Slideとreportは
http://lcg.web.cern.ch/LCG/Boards/crrb.html から

-- Status of LCG project :   Les Robertson

WLCG activities and services

 LHC実験グループによるWLCGの使用はどんどん増えている。過去17か月の間に、
jobの数は5倍、CPUの使用量で3倍になった。
 この9月からT2の使用状況データも収集するようになった。今のところ45/53の
T2が報告をしている。モニターの結果を見ると、約束した資源のうち全体で50%弱
しか使われていないようだ。ただし、サイト間のばらつきは大きい。70%以上使って
いるT2は約1/3で、また10%程度のT2も同じくらいある。今後すべてのT2からの
情報を収集して正確なモニターをおこなう。
 データ転送においてもT0, T1, T2, T3間のテストがおこなわれている。例えば、CMS
の多数のサイトの間でデータを移動するテストで目標の転送速度(1.3-1.4GB/sec)に
近い値を達成し維持することができた。また、ATLASは夏の総合cosmic runのデータを
T0-T1-T2へ転送するテストをおこなった。

 GRIDのソフトウエアに関しては、いくつかの重要なものがまだ未完成である。特に
SRM2.2(Storage Resource Manager)の開発は遅れがあり、あたらしい予定では
2008年の2月になりそうだ。

サイトの信頼性

 最近6か月のサイト安定性の指標がしめされた。T1の数字は少しずつ改善してきて
いるが、目標値を実現するために更に努力が必要。T2のモニター結果も得られている。
83のT2サイトのうち、上位50%の平均信頼性はT1の上位8位の平均と同等であるという
興味深い結果が見られた。

リソースの現状、pp衝突までの増強、長期展望

 既に(8月の現状)導入、稼働しているリソースはまだ2008年に達成すると約束された
目標に達していない。CERN, T1ともにCPUおよびDISKをあと約3倍に増強する必要がある。
実験データが出始めるより十分前に(4月)総合テストができるようにこれらの資源を
残りの6か月で準備することの重要性が強調された。

Commissioning

2008年の前半に、実験データが出る前に十分な総合テストをする計画が合意されている。
そのためのマネージメントの準備が行われている。シミュレーションデータ等を使って
全ての実験、全てのサイトを同時に使って厳しい予行演習をやる。

-- Resources and financial plans :  Sue Foffano

MoUの状況:

4月のRRB以降、Spain T1といくつかの新しいT2がサインした。これで11のT1は
Nordic federationを除いてすべてMoUにサインした。更に、新しいT2が加盟の予定で準備が進んでいる。 
現在のT2(federation)の数は55、近いうちに59になる予定。

LCG予算:

CERN T0+CAFのfundingの状況が示された。人件費に関してはEGEEの継続が
想定されている(大丈夫だと思われている)。

新しいリソースのpledge:

4月のRRBで決められたとおり、夏の間にWLCG参加機関は新しいpledgeを
示すことになっていた:2008年の数字と2012年までの計画。
5/11のT1と24/54のT2が答えた(日本は返事した)。
その内容を見ると、特にT2の場合、2011, 2012の数字が2010と同じという
ケースが多く見られた。手持ちのデータを使って将来の要求と提供される
リソースの時間変化を比べると2011から両者が大きく食い違って行くのが
見える(要求(データに比例)に比べてリソースの伸びが鈍い)。これは
心配の種である。WLCGメンバーからは、2011以降の具体的な数字を提出
することは現在は困難であるというコメントが幾つかあった。それを考慮
して新しいpledgeの結果を解釈する必要がある。なお、CERN (T0+CAF)
は2012まで、要求を少々下回っているが、大きく要求から離れずに伸びて
いく計画が示されている。


-- Scrutiny group

WLCGの資源要求と資源提供、資源使用の状況を精査 
するScrutiny groupの立ち上げの準備(人選など)をおこなっているという報告があった。

これと関係があるが、4つのLHC実験のあいだのリ ソースの割当、
例えば誰かは足りなくて、誰かは余っている場合、 これを調整する
機構はどうなっているのかという質問があった。 
Collaboration boardやscrutiny groupの仕事の一部になるのだろう(で 
も、デリケートそうな問題である)。

--次回のRRBは2008年4月

--これまでWLCG project leaderであったLes Robertson氏が来年 
retireのため後任が最近Ian Bird氏に決まった。

 因に、これまでResource coordinatorをやっていたChris Eckも来年retire。
 後任のSue Foffanoさんがこの秋からResource coordinatorをやっている。

 (これまで、ざっくばらんにいろいろ話ができた2人なので、今後の
  新しい人間関係構築が我々にとって課題のひとつ)

川本