Subject: [atlas-japan:01160] LHC RRB メモ

皆様

LHC RRB の Plenary が 2007/4/23 にあり、川本・岩崎が出席しました。
Lyn Evans が LHC加速器の報告をしましたが、Point5 での Inner Triplet の
事故後ということもありスケジュールが気になるところですので、彼のまとめ
を報告しておきます。

 - Inner triplet問題の前に、5週間の遅れがあった。
   Inner tripletの現場での修理のやりかたを確認した後で、新しい
  スケジュールを発表する。
 - 年末の engineering run(injection energyでのcollisionなど)は
  ありそうにない。2008年の physics run は維持するようにする。

川本による Plenary と Computing のメモ、岩崎による ATLAS のメモ
も添付しました。詳しくは
 http://indico.cern.ch/categoryDisplay.py?categId=852
の Timetable にagenda があり、そこからスライドを見ることができます。

川本、岩崎

[1] LHC RRB Plenary のメモ  川本 
[2] ATLAS RRBのメモ                岩崎
[3] Computing RRB のメモ   川本

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[1] LHC RRB Plenary のメモ    

23.04.2007   CERN auditorium

司会はJ.J.Blaising氏。CSOは飛行機のキャンセルのためmeetingにたどりつけず。

- 前回のminutes approved.
- Detector construction MoUを延長する話は、各実験のRRBでやる。

DGの話

- LCH machine
 電磁石など要素は設置された。それらの接続作業(何1000カ所もある)が今度は中心。
 ひとつのセクター(7-8)の冷却に最近成功した。1.9K。
 Inner tripletというビーム収束電磁石が圧力テストちゅうにこわれた。問題のレビューを
 やっている。近日中に新しいスケジュールを発表する。修理と他の作業の干渉と、その全体
 スケジュールへの可能な影響が問題である。

- Midium term plans
 Priorityは:
 -LHCのポテンシャルを完全に引き出す
 -LHC upgradeの検討
 -CERN加速器インフラの補修強化
 
 一方、LHC建設のためのローンの支払いが問題である。2011まで。そのため上記priority
 やらその他のプログラムへの実行への影響があり得る(人件費など)。
 そこで、2011まで特別予算の可能性を議論している。
 4年間で240MCHF。メンバー国は理解を示している。non-member国からもほしい。
 Linacのupgradeやら、加速器要素の開発等in-kind的なやりかたがあるだろう。

- Open access publishing
 レビューのある論文のopen access publishing に関するbuisiness model確立
 の検討をおこなっている。

Lynn Evansの話

- Arcのdipoleやquadrupoleは3月末までに設置が完了した(see LHC dashboard)。
 次は、それらの接続だ。全てのセクターで並列にやっている。

- Sector7-8の冷却1.9Kにこぎつけた。パワーテストなどに移る。
 Feedboxも(問題を解決して)順調である。
 
- Inner triplet。設計の問題があった。
 Heat exchanger交換(これは簡単)。
 Cold massの固定装置の問題。IP5での圧力テストで破損した。
 問題をレビューして、解決策のオプションを決める。

- まとめ
 - Inner triplet問題の前に、5週間の遅れがあった。
   Inner tripletの現場での修理のやりかたを確認したあと、新しいスケジュールを
   発表する。
 - 年末のengineering run(injection energyでのcollisionなど)は
  ありそうにない。2008のphysicsを保証するようにする。

質問: Engineering runがなくても、秋にbeam pipeを閉めねばならないのか?
答え: 然るべき時期に、圧力テストをする時になれば閉めねばならない。

川本

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[2] ATLAS RRB          

2007年4月24日  14:00-16:30

Status of experiment (M. Nessi, P. Jenni)
 - 現在の installation 現状は、ID Barrel、all calorimeters, 
   barrel muon chamber の99%, endcap muon の半分が済んだ。
 - ID のサービスは全て組み込んだ
 - Liq Ar のLV電源の改良はうまく行きそうで、6月中旬には全数CERNに届く予定。
 - Tile cal で約20%の読み出しチャンネルで不安定動作がみつかった。原因は
   コネクターでの半田付け不良と flex-foil stress。4-5 drawer/week で
   修理している。
 - ID のヒーター問題が起こったため、全数をエックス線検査し、約10%が要修理
   と判定された。既に約7/8が戻され、残り1/8も今週中に完了予定。
 - ID instllation は5月中旬に再開
 - muon system では power suppy と back-end electronics 調達遅れが問題。
   2008年春までは全システムを動かすのは無理かもしれない。
 - Endcap Troid C(2台目)は今週蓋が閉じられる@Bldg191
 - Endcap Troid A は6月にpitへ降ろされる。Point-1 で最も複雑な作業になる。
 - スポークスパーソンの任期が変更された
   2 years, renewable once with a 2/3 majority
  (今までは 3 years, renewable with 2/3 majority) 
 - 今建設中のATLAS検出器はinitial staged detector。数年後には達成される
  であろう high luminosity に対応するにはATLAS測定器の全機能復活が必要。

文責: 岩崎


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[3] Computing RRB のメモ              

24.04.2007    CERN 60 6-002

資料は: http://indico.cern.ch/conferenceDisplay.py?confId=13023

前回のminutes approved.

Status of the LCG project : L.Robertson

-Applicationのサポートはうまくいっている。
-WLCGのサービスの稼働状況は上昇している。
   Gridに投げたジョブの数:1年前の3倍
  CPU使用量       :   2倍
  Disk使用賞      :    5倍
 これらは、2008年には更にそれぞれ5倍、6倍、6倍になる必要がある。
  CERNからT1へのデータ転送は、最近600MB/sを維持、ピークでは1GB超えを達成。
  2008年には約1.4GB/sを維持することが必要になる。
-サイトの安定性は、T1では90%がターゲット。現在の実態は、ターゲットの90%
 あたりを上下している。ベスト8サイトの平均はかろうじてターゲットを達成。
 全体の稼働率を確保するために、ベスト8サイトの目標を引き上げる
 (6月に93%, 12月に95%)。
-データストレージは現在の心配の最上位。
 実験のデータ管理システム、各サイト固有のストレージの形態、データ転送、
 分散したデータベースやカタログ等が関与する複雑なシステム。まだ、テストが
 十分でない。いろいろな問題も知られている。テスト、デバッグには時間がかかりそうだ。
 サイトと実験の協力が必要、やっている。
-T1における24x7のサービス体制の維持にもいろいろ問題があるらしい。課題。

LHCC deliberations
-データストレージ:この件では今年になってから大きな進歩があったが、LHCでちゃんと
 使うにはまだ努力が必要である。2007年7月のいわゆるドレスリハーサルにおいt、
 SRM2.2が使えるのかどうかはっきりしない。CASTERにおける最も重要な問題は適切に
 対応されたと思われるが、今後実際の使用条件のなかでテストされる必要がある。
-Tierセンター:いわゆるMegatable(各センターの相互関係やネットワーク帯域の
 情報を含む表)の中身は進展している。ネットワークの状況は改善してきているが、
 安定した運用が必要である。

Status of resources and financial plan : C. Eck

-WLCG MoU署名の状況:
 2006以降、Austria, Norway, SwedenのT2 federationが参加手続き進行中。
 イタリアのT2 federationは4つに分離(実験ごとに)。
 Polandはサインした。スイスのサインもすぐに。
 メンバー国のうち、残ってるサインはあと6こ(2つのT1を含む)。10月のRRB
 までにはサインされる予定。
 非加盟国では、Sloveniaが新しくT2のサイン。アメリカのT2(SLACとGreat lakes)
 も新規加入。
-新しく7つのT2が具体的な加盟準備中:ブラジル、カナダ東、カナダ西、エストニア、
 ハンガリー、イスラエル、韓国。
 (イスラエルは近日中にサイン)
-CERNのLCG予算:
 2005からのPhase2予算。2007年に-0.2MCHF赤字になるが、2008年には
 +0.915の黒字になる予定。ただし、人件費に関しては、EGEEの次期計画があることを
 想定している。W.von Ruedenのコメントによあと確実視されている。
 2009-11の予算は、2010年に-4.9MCHFの不足。これにより機器のコストが6%分
 足りない。2009-11の全体の予算では、機器の費用の不足は11%分に相当する。
 人件費は、その14%が外部からくると想定(European Grid Initiative)
-Grid運用の様子:
 CPU, Disk, tape全て2007年2月までにPledgeされた資源が実際に設置された。
 テープは実際が予定を上回っている。資源の使用状況は、どんどん増加してきている。
 今回の報告の期間の最後では75%くらいの資源が使われている(CERN+T1)。
-資源量の改訂:
 LHCのスケジュール変更にともないプロファイルの変更が行われた。
 64のサイトのうち60がupdateした。
 古いpledgeと比較すると、
 2007、2008は資源量減少、2009、10で増加(詳細は、種類(CPU, DISK, tape)による。

 また、実験の要求量(これも改訂版)と比較すると、
 不足の解消、あるいは減少が見られる。ただし、ALICEはまだまだ全体に不足。
 
 今後の計画:
 2007年7月までに、各FAは新しい改訂版(2008-2012)を報告する。
 2008のfirm pledgeと、2012までの計画。
 夏の間にscrutinizeして、10月のRRBで承認という段取りでいく。
 同様に、LHC実験も改訂版の要求量を発表する。

 (10月のRRBで次年度の資源を約束するのが通常のやり方だが、今回は、
  LHCスケジュール変更への対応のため4月のRRBに持ち越された)

川本