--------------------------------------------------------------------- 第20回 LHC Computing Resources Review Boardの簡単な報告 日時:19.04.2005 CERN building 60 6階会議室 日本の代表として、川本(東大)、寺門(ジュネーブ政府代表部)、岩見(KEK/CERN) が出席。 議長はJ.Engelen(CERN研究担当副所長)。 前回の(25.10.2004)CRRBの議事録の承認の後、LCGの現状と計画について 以下の報告と議論がおこなわれた。資料は以下のURLにある。 http://lcg.web.cern.ch/LCG/boards/crrb.html - LCGの現状: L.Robertson、 LCG project leader 昨年の11月からaccounting serviceが動き始め、現在65のサイトが使用状況 の報告をGrid operation center (RAL)に送っていること、これでジョブの 状況がモニターできていることが報告された。また、LCGのdata recording challengeをALICEグループとの共同で最近おこなったこと、service challengeという、データをCERNとTier-1センターの間で大量に転送する テストをおこない、平均600MB/sのデータ転送を10日間にわたって維持した 事などが最近のニュースである。 ネットワークの整備に関してはワーキンググループが組織され計画をおこなって きた。全体的な構成とスケジュールは逐次変化しているが、2005年の末までには 多くのTier-1センターが10GBのネットワークで接続されるだろう。最終的には、 Tier-1センターは10GBの専用回線で結ばれ、Tier-1とTier-2の間は汎用の 学術ネットワークで結ばれるだろう。任意のTier-2から任意のTier-1のデータ にアクセスできるようになる。 2006年からのproduction system(phase 2)への進化、および実験開始と データ解析に向けての重要ステップとして、2つのservice challengeをやり ながらLCGシステムを熟成させていくためのタイムテーブルが示された。 - LCGの資源と予算計画: C.Eck LCG resource cordinator Phase-1(2005までのCERNにおける開発フェーズ)は、CERNの予算と各funding agencyからの自発的な外部資金の貢献により行なわれて来た(日本は主に装置 の導入に貢献)。各種の努力、調整、およびCERNの予算追加とその他の収入に よりPhase-1プログラムの支出と収入は大変健全なものになりそうである。 最終的に約500KCHFの不足が見込まれるが十分対処できる額である。 Phase-2、つまり、CERNのTier-0およびCERN analysis facilityの構築に 於いては、以前より認められてきたことであるが、問題がある。 機材に関しては、追加の外部資金の確保やより正確な装置の価格見積りの結果、 現在の予算でカバーされる見通しがついている。 一方、人件費に関しては依然約16MCHFの不足が見込まれる。これは重要な問題で あり、Phase-2開始の時期が近付いていることであり、早急にその対策が必要で ある。(下記 J.Engelenのセッションでもう一度議論) - 地域センターの計算資源: K.Bos LCG Grid deployment board chair 現在、11のTier-1センターが名乗り出ている。それらの暫定的な資源の内容も 分かって来た。Tier-2は多数存在し、それら全体の資源の全貌はまだ把握で きてない。今後それを理解し、適切な資源の割り振り方などを計画する必要が ある。 これら現在分かっている地域センターの資源を、この1月にLHCCにより評価を 受けた各実験の計算機資源要求量と比較すると2008年の段階でディスク容量 が25%不足している。しかし、現段階での最初の資源評価としては、まあまあ のものではないかと理解されている。 - CERN T0の予算について: J.Engelen 上で述べたPhase-2の人件費不足は深刻な問題となってきた。Aymer所長は この予算不足をCERNの予算に新たに盛り込む事は困難であることを述べ、 外部資金の必要性をfunding agencyに訴えた。それぞれのfunding agency は、それぞれが責任をもつTier-1/Tier-2センターのサポートで手一杯の傾向 がある事は理解する一方、CERN Tier-0センターもLHCのデータ解析に不可欠な もの故追加資金を考慮してくださいというわけである。RRBの席でのfunding agencyの反応は、一般的にポジティブであるが、よく検討することが必要ですぐ には返事できませんということである。その一方、いくつかのfunding agency (ポルトガルなど)はぞれぞれ小人数ではあるが、エンジニアを提供する計画であ ると言う提もあった。 まとめとして、所長から、大変困難な状況だが、柔軟 に、いろいろな方法で、各funding agencyに適したやりかたを探し、必要な資源を確保するための 努力をおこない秋のRRBまでに目処をつけたいと語った。 (さて、日本にも何かやりかたがあるか。) - LCG MoU: D.Jacobs MoU draft task force chair LCG MoUの報告と議論。2004年秋のRRBで最初のドラフトが公開され、細かい 修正を経て、最終的なドラフトにまとまった。特に、Tier-1センタ―の資源の 内訳を示すAnnexが記入された。これらの概要説明の後、Funding agencyとの議 論に入った。多くのAgencyは、基本的にMoUの内容に満足であり、サインする用意 があると述べた。ただし、細かい点の理解や確認をしてからという但書きは多く の場合つけられている。また、約束するサービス、資源の内容の詳細については、 次回CRRBまでに最終案をまとめたうえでサインするということである。どのよう なタイミングでサインるのか、全てのAnnexが最終的になった時に皆がサインする のか、それとも、それぞれのセンタ―が自分の提供する資源を最終版にでき次第、 独自サインするのかという議論があった。現在のEngelen氏の方針は、後者である。 - まとめと将来の計画: J.Engelen 次回のRRBは10月17、18、19に開かれる。 記録:川本 ---------------------------------------------------------------------