件名 : [atlas-japan:00671] Higgs WG Meeting 2004.04.07 送信日時 : 2004年 4月 9日 金曜日 10:15 PM 差出人 : Junichi Kanzaki 宛先 :Atlas-Japan 2004年4月7日(水)にCERNで行われた Higgs Working Group Meeting の様子に ついて報告させて頂きます。 6日まで行われていた Physics Simulation の workshop を最後を少しだけ失 礼して meeting に参加致しました。頑張って参加した割にはイースター休み 直前だったからか参加者全員数えても20名足らずでした。 発表の数は全部で11、いつもの meeting に比べ少なく、午後も前半で終って しまいました。相変わらず Wisconsin グループは活発に発表を行っていて、 11の発表の内、Wisconsin グループから6の発表がありました。ただし Bruce Mellado 氏と Bill Quayle 氏が2回ずつ発表したので実質の発表者は4人とい うことになります。 内容としては agenda http://agenda.cern.ch/fullAgenda.php?ida=a041366 を見ていただけば分かるように、ほとんど目新しい発表はなく、これまでの継 続かまとめの発表がほとんどでした。 唯一、個人的に少しは目新しい(「新しい」ではなく)と思ったのは photon-photon の invariant mass を photon vertex を求めることによって 改善してみましたという Wisconsin の Fang 氏の発表くらいでした(彼の発表 は必ずしもそれが main ではなかったようですが、、、)。 少し低調な雰囲気の meeting ではありましたが、いくつか印象に残ったのは やはり Wisconsin グループの活発さにからんででした。 まずこのような時期の meeting にもかかわらず Sau Lan Wu 氏は出席していま した。彼女の発言は周囲の参加者に良くも悪くも強いインパクトがあります。 些細な事かも知れませんがこのようなミーティングでも出席して来る事に、物 理解析の特に実のとれる Higgs の解析でなんとしても initiative を取ろうと 言う意欲を感じます。 Bill Qualye 氏の発表で新たな combined results を出す話がありました。 Wisconsin グループは neural net を用いて少しでも良い limit を求めたり、 統計処理を使って combined limit を求めたりするのを熱心に進めています。 そのような方法を用いて official plot を更新しようという提案でした。もち ろん少しの limit の改善が現時点で物理的に大事であるはずはありませんが、 このように自分たちの得意とする分野を十分に活用してなんとかinititive を 取り続けようとする姿勢は我々にとっても必要な事だという気がします。 新 しい convenor の決定の過程を見ていてもどうしても政治的な物事の決定はヨー ロッパ中心に進みがちですから、我々がヨーロッパのメンバーと同等の仕事を しているだけではいけないと考えます。 最後に次回(5月)のミーティングについての議論がありました。次回は二日とっ て(二日ミーティングがあることは予定に入っています)より細かい議論をしよ う、できればパラレルにサブグループのミーティングを行ってもよいのではな いか、という Fabio Cerutti 氏の提案があったのですが、すぐに Sau Lan Wu 氏から、参加できないミーティングができるから parallel にはするべきでは ないという、反論がありました。Cerutti 氏は細かな技術的な議論を全員が集 まってする必要はないのではないか、と主張するのですが、やはり自分の知ら ない所で議論が進む可能性が少しでもあるのはイヤという心理はなんとなく分 かる気がしますし、Sau Lan Wu 氏のこの meeting に対する強い意志が現れて いる気がしました。結論は例によって玉虫色、必要がなければサブグループに は分かれないで議論すれば良いし、どうしても必要ならば時間をずらしてでも、 あるいは休み時間でも個々に集まって議論すれば良い、といった曖昧なもので した。 今回のミーティングで受けたもっとも強い印象は、現在の Higgs WG の convenor にはこれから出て来る DC2 のサンプルを、どのような環境で、どの ように解析し、どのような検討作業をするのかについての vision があまりな いということでした。ですから各自がそれぞれの sample でそれぞれの環境で、 またそれぞれの目的で解析する、と言う事が起きていて、本当に来年のローマ に向けて DC2 で解析を進めるための強い initiative が全くありません。逆に いえば自由にできるわけですから悪い事ではないのでしょうが、実験データを 約3年半後に控えた今なら、まずDC2のサンプルを使って今何をするべきか目的 をはっきりさせる事も必要な気がしています。 KEK 神前