件名 : [atlas-japan:00391] Higgs working group meeting (Oct.9th) 送信日時 : 2002年 10月 17日 木曜日 2:57 PM 差出人 : Junichi Kanzaki 宛先 : 皆様 10月7日から11日の ATLAS week 中に Higgs working group の meeting が9日 (水)に行なわれました。今回は東大・片岡君、岡山大・伊藤君の二人のM1が発 表を行いました。また東大・竹本君の最終結果を浅井氏が報告をしました。以 上の様子も含めて meeting の概略を報告させていただきます。 前回(9月4日)に引続き午前・午後の二部構成の全日 meeting でした。特に ATLAS week 中は物理関係の meeting は水曜日に集中しているため、Higgs meeting のみで一日かかってしまうと、他の分野(Standard model、SUSY、 Exotic ...) の meeting には全く出られなくなってしまいます。多少の overlap は仕方ありませんが、全てをたった一日で済ませるのは無理があると 感じました。 Higgs working group の meeting は相変わらず盛況で、午前 10 talks、午後 8 talks が予定されていました。この中でアトラス日本グループからは VBF H →ττ の最終結果について竹本君の代理で浅井氏が報告を行ないました。次 に ttH (H→bb) の解析の報告を片岡君が、また ttH (H→ττ)の解析につい て伊藤君が報告を行ないました。どの解析もライバルというか、同じ解析を行 なっている別のグループがあります。VBF H→ττは Montreal のグループが、 また ttH (H→bb) は Bonn のグループが、そして ttH (H→ττ) は Weizmann のグループが解析を行なっていますが、我々の解析は互角、あるい はそれ以上の成果を上げています。特に竹本君の最終結果はおそらく ATLAS の official な結果となるのではないかと予想されています。一方 ttH の解析 はどこも現在進行中の状況で、なかなか良い結果が得られない難しい解析であ ることがだんだん明らかになってきています。Bonn グループの bb 解析はか なり先行しているため、我々の結果はまだ少し追い付いていないところもあり ますが、ττについては我々の方が若干先行しているという印象でした。 片岡、伊藤両君は実は個人的にはリハーサルの時の英語を聞いてかなり心配し ていたのですが、本番では予想以上に(失礼!)スムーズにこなしてくれました。 同様の解析を行なっているグループからの質問もあり、working group meeting での発表の役割を十分果たしてくれました。 さて、今回の meeting は非常に多くの発表がありましたのでここではごく簡 単に印象に残ったものについて概略を紹介させていただくことにします。 ・Alan Watson (Birmingham) "Overview on the ATLAS Level-1 trigger strategy -can we trigger on forward jets ?" 最近話題の VBF による Higgs の生成がちゃんと trigger できるかどうか、 について trigger の study からの報告ですが、現在のところ atlfast に よる simulation のみのようです。その限りにおいては 40 GeV の pT cut で十分な rate に落とせるようです。40+20 GeV でもまだ行けそうな、、、 いずれにしてももう少し詳しい study が必要な印象です。 ・Lidija Zivkovic(Weizmann) "Search for ttH, H--> tau tau" 伊藤君と同じプロセスです。ただし final state の崩壊パターンは一つだ け(伊藤君は四つ)でした。しかも解析に残った event 数が多すぎるので cross section の計算か何かがおかしいと思われます。もちろん情報交換の 約束をしてきました。 続いて charged Higgs 関連の発表が二つあり(略)、その後、午前の最後には full simulation を用いた study についての発表が二つありました。前回の meeting の際にも full simulation を用いて更に atlfast を improve する 必要があると言う議論がありました。これらはその線に沿っての発表でした。 Physics TDR 作成以来、geometry もより現実的なものに変更されていますし、 また解析の方も(ttH、H→bbのように)複雑化しているため、より現実的な simulation をする必要性が増してきていることを意味しています。 ・Davide Costanzo(Berkeley) "Status report on lepton reconstruction in full simulation (Higgs signal and Zbb events)" これはとりあえず full simulation の event を用いて 4 lepton events の解析をやってみました、という報告でした。 ・Jessica Leveque(Marseille) "Study of b-tagging in full simulation fro ttH, H-->bb この発表は b-tagging を full simulation で調べると言うことで、我々も 注目していました。一つ前の発表に比べればかなりいろいろのことが調べら れていました。我々も b-tagging は非常に重要な技術なのでせめてこのレ ベルまではできるだけ速やかに進みたいものです。 午後は discussion session だったのですが、今回は特に「玉石混淆」の感を 強くしました。もちろんまとも(!)な発表もいくつかありましたが、開いた口 が塞がらないものもありました。しかしHiggs の解析のうち主なものはかなり 良い結果がすでに出ているので、後発隊はいささかゲリラ的にならざるを得な いのかも知れません。 午後のセッションの最後に Elzbieta が来春の ATLAS Physics Workshop に向 けての展望について話しました。内容としては taget となる主なテーマのま とめと、データと解析の標準化についてでした。これらはいずれも大事な議論 であるにも関わらず事前に何の根回しもなかったのでいささか唐突な印象でし た。案の定、特に解析手法の標準化については十分が議論ができなかったと思 います。次回(12月)に続けて議論することになりました。それまでに我々のグ ループとしてどのように考えるかについてまとめる必要があると考えます。 以上、ごく一部を簡単に紹介させていただきました。なお詳細については http://documents.cern.ch/AGE/current/fullAgenda.php?ida=a021349 http://documents.cern.ch/AGE/current/fullAgenda.php?ida=a021351 に掲載されているトラペなどを参照してください。 文責・神前