2001年12月14日 CERNはLHC完成コストの増加に対して対策を立てた 20のCERN加盟国の代表が研究プログラムと財政資源を決定するCERN理事会の第120回 会合が12月14日にMaurice Bourquin教授(スイス)の議長で開かれた。 CERNはLHC体制へ ルチアーノ・マイアニ所長は、今やCERN研究所はLHCに全面的に関わっていると強調し、 LHC完成までに必要なコスト増加に対する最初の対策を提示した。大変厳しい状況下で 建設している新しい加速器は非常に複雑でハイテクのかたまりである。技術的に難しい 部分は解決されており、加速器部品の産業による生産とその据付作業が始まった。 マイアニ教授は2001年はCERNにとって非常に困難かつ決定的な年であったと述べた。 最後の主要な加速器の契約であるLHCダイポールマグネットの契約がこの会合中に承認 されたことで重要なマイルストーンを越したことになる。 LHC計画の新しい完成コストは今や明らかである。この新しい状況に対する研究所の活動 をどのように合わせていくかは3月の理事会で提案され、この提案をさらに発展させて 2002年の6月の理事会に中・長期の計画を提案する。マイアニ教授はプロジェクト完成の ための超過コストのかなりの部分をCERNの組織の基本予算内でまかなうことを確約した。 所長は、5つのタスクフォースを設置して、異なる研究プログラムのコスト、研究所全体 にわたる節約の可能性、組織再編、CERNの資源をマネージする方法の向上を検討すること にした。.また所長は、CERNのプログラムを統制官としてK.H. Kissler博士を任命したと 理事会に報告した。 CERNはこれまで常に、一流の設備とニュートリノ・重イオン・CP非保存・低エネルギー 核物理や反陽子を含む研究プログラムをメンバー国の物理学者に提供してきた。今はこれ らの他の分野におけるCERNの広範性を保ちながらもLHCに焦点を合わせる時である。 所長はまた2001年における研究活動の概要を発表した(サマリーを参照)。 米国のNSFからの代表であるロバート・A・アイゼンシュタイン博士は以下のような声明 を発表した:「我々は、とくにアトラスおよびCMS測定器さらに加速器に対する我々の 貢献に関して、CERNに対する米国の知的ならびに財政的なコミットメントを確認する。 CERNは有用かつ非常に建設的な科学研究上の協力において抜群のよい例であり続けてき た。この事実によりCERNは尊敬されてきたし世界の見本でもある。米国はLHC計画の全 ての面における成功を望んでいる。最近直面している困難に関して問題解決のために強い 対策がとられつつあることを大変喜んでいる。」 外部レビュー委員会 理事会は所長の提案である外部レビュー委員会(ERC)の設立を承認した。この委員会に は2つの主要な事を検査することが要求されている:   ・LHC加速器・実験場・測定器建設におけるCERNの分担   ・LHCに直接関係しないCERNの研究プログラム である。ERCはこれらの2つの面について事実に基づいた包括的な検討を行って理事会に 報告書を提出する。このレビューは最近所長によって作られた内部のタスクフォースと 協力しながら並行して行われる。 ERCは理事会委員会ならびに他の委員会に2002年の3月に中間報告を提出し、そのことに よって研究所の中期ならびに長期の研究活動の計画に報告内容が採り入れられるようにす る。最終報告書は2002年6月に理事会とその他の委員会に提出される。 R. Aymar博士(フランス)がERCの委員長として任命され、加盟国からの推薦を受けて 委員長は以下のERCのメンバーを指名した:   ・Stephan Bieri博士, ETH (スイス)   ・Bjorn Brandt博士, スエーデン戦略研究財団(スエーデン)   ・Enrique Fernandez教授, バルセロナ自治大学(スペイン)   ・Sigurd Lettow博士, カールスルーエ研究所(ドイツ)   ・Italo Mannelli教授, ピサ高等大学校(イタリア)   ・Marc Pannier氏, 経済産業省財政大臣(フランス)   ・John Peoples教授, フェルミ国立研究所(米国)   ・David H. Saxon教授, グラスコー大学(イギリス)) この委員会構成は国際的に知名度の高い研究者とメンバー国の財政および行政の専門家の バランスからなっている。 予算 理事会は10億6000万スイスフランの2002年予算を承認した。またそのうち5%(5300 万スイスフラン)に相当する物件費を凍結することに同意した。2002年の3月に理事会は 2002年の予算を新しい中長期計画に沿うような執行部提案を受けてこの5%の予算の凍結 の解除を決定する。 また理事会は2002年の物価指数0.76%と給料の調整指数1.3%を承認した。 --------------------------------------------------------------------------------